「安易な犯人探し」は危険であるということ。
- あおり運転暴行事件の同乗の女性が逮捕されたようです。
- ネット上では、全く別の女性が「犯人」に…
- スマイリーキクチ中傷被害事件の教訓
- 「犯人探し」は基本的に避けた方がよい
- 不安な時だからこそ、逆に冷静に
あおり運転暴行事件の同乗の女性が逮捕されたようです。
茨城県守谷市の常磐自動車道で10日、男性会社員(24)があおり運転を受け、車を停止させられた上、殴られた事件で、傷害容疑で茨城県警から指名手配された宮崎文夫容疑者(43)が18日大阪市内の自宅マンション近くの駐車場で県警に身柄を確保され、逮捕された。同県警は一緒にいたスーツケースを持った容疑者の交際相手の喜本奈津子容疑者(51)を、犯人隠避容疑で逮捕した。宮崎容疑者は18日中にも茨城県警取手署に移送される。(記事引用元:日刊スポーツ 2019年 8月18日)
あおり運転暴行事件の犯人。そして彼と同乗し、現場をガラケーで撮影していた女性も逮捕されたようです。また新たな被害が生じる前に逮捕され、無事解決したというところでしょう。
ネット上では、全く別の女性が「犯人」に…
この事件で気になってのは、ネット上では「犯人とされる女性」の名前が独り歩きしていた事です。
実在する女性のようなので、本人のプライバシーの都合上記載は避けますが、明らかに逮捕された女性とは異なる人物が「犯人」として記載されています。
犯人、あるいは事件の当事者と全く関係ない人物が犯人扱いされる…
これはタレントのスマイリーキクチ氏が「犯罪事件の加害者」としてネット掲示板で根拠のないデマを流され、風評被害に遭った件を彷彿とさせる内容です。
スマイリーキクチ中傷被害事件の教訓
インターネット社会の到来
インターネットのリテラシーが問われた事件
「犯人探し」は基本的に避けた方がよい
今回の事件の主犯である男性は、指名手配がされていました。
名前も年齢も。そして顔写真も公表されていたため、その内容をネットで書くという事についてプライバシーは問題とならないでしょう。
そして指名手配という性質上、デマの可能性は考えにくい。
一方、同乗者の女性は男性が指名手配された時点では逮捕状が出ていたかどうか不明でした。したがって、この段階で個人を「犯罪者」として情報発信するのはプライバシーを侵害する可能性があります。
ちなみに、過去にもこのような「犯人探し」は行われており、中にはこういった情報提供が犯人逮捕につながったケースも存在します。
しかし、残念ながら多くの場合、こういった情報は「怪情報」と言わざるを得ません。事件の解決に結びつかないどころか、場合によっては捜査の撹乱を助長することになりかねない…
不安な時だからこそ、逆に冷静に
「一刻も早く犯罪者を捕まえてほしい」
あるいは、
「犯罪者が逃亡している状態は非常に不安だ」
このような気持ちは当然、あるでしょう。しかし、そのような状況は必ずしも「誤った情報を一方的に流す」というものを正当化するものではありません。
むしろ、そういった状況だからこそ冷静に。基本的に犯人の特定は警察であり、あるいは警察の情報を基にしたメディア等の仕事というのが基本です。